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香りと脳のメカニズム



●香りが鼻から脳へ伝わるしくみ

嗅覚は鼻腔の上の方にある 嗅上皮 という匂いを感じる部分でキャッチされます。

香りの分子は嗅上皮の粘膜でできた液体層に溶け込み、 嗅細胞 の先端である 嗅毛 という極細の毛で受容されます。

受容された香りの情報は、嗅細胞の中で興奮を起こし 電気的信号に変換 されてインパルスを発生させます。インパルスは神経線維を伝わり、脳の底にある 嗅球 と呼ばれる嗅神経を経て脳へと伝わります。

脳へ入った香りの情報はまず 大脳辺縁系 という古い皮質に達します。

さらに大脳辺縁系から 視床下部 、すぐ下にある 下垂体 へと伝達されます。

同時に、 大脳皮質 の嗅覚野にも到達し、ここで香りを知覚し何の香りかを判断します。



●香りと大脳辺縁系

大脳を「新しい皮質」と「古い皮質」で区別した場合、人間の脳の90%以上は「新しい皮質」が占めていると言われています。

人間のような高等動物になるに従って新しい皮質が発達し、下等動物は古い皮質が発達しています。

新しい皮質は 大脳新皮質 と呼ばれ、考えたり記憶をする等の 知的活動 をつかさどり、人間らしい行動と結びついている脳とも言えます。

一方、古い皮質は 大脳辺縁系 と呼ばれ、人間の場合、新しい皮質が発達することにより脳の片隅に追いやられてしまっています。

大脳辺縁系は、食欲や性欲などの動物と共通した 本能に基づく行動 、喜怒哀楽などの 情緒行動 を支配し、自律機能にも大切な役割を果たしています。

興味深いことに、大脳辺縁系は嗅脳とも呼ばれ、嗅覚は直接この大脳辺縁系と結びついています。

他の視覚や聴覚などが、視床や大脳皮質を経て大脳辺縁系へ到達するのに対し、嗅覚は嗅神経からダイレクトに大脳辺縁系へ入ります。嗅覚が人間の五感のなかで最も原始的であり、本能的な感覚と言われる所以です。

したがって、香りはダイレクトに感情や本能を支配する脳に作用します。

例えば「わけもなくイライラする」といったような理性ではコントロールできない感情を持て余している時、心地よい香りを嗅ぐことによってリラックスができたりイライラが緩和されることがあります。これは生理的なメカニズムに基づいたアロマテラピー効果の一つなのです。



●香りと視床下部

香りの信号は大脳辺縁系へ到達した後、 視床下部 から 下垂体(脳下垂体) へと伝わります。

視床下部は 自律神経の最高中枢 とも言われ、生命活動に欠かすことのできない体温や水分、血圧、睡眠リズム、消化や呼吸など様々な働きの調整を行っています。

さらに、視床下部は自律神経を支配するだけでなく、下にある下垂体という器官とも密接な連携をとって機能しています。

下垂体は、さまざまなホルモンを分泌する 内分泌系の器官 で、各種ホルモン線のホルモン分泌量や時期をコントロールし、目的とする各臓器に働きかけて生命維持の安定に大きな役割を果たしています。

視床下部はホルモンを分泌して、または神経連絡によって下垂体に指令を送っています。したがって、視床下部と下垂体は一体となって 恒常性を維持 するための重要な働きをしているとも言えます。

人間はストレス状態にさらされたり感情的なダメージを受けると、自律神経系である交感神経と副交感神経のバランスを崩したり、内分泌系の乱れが生じることがあります。さらには免疫系にも悪影響を及ぼすことも知られています。

アロマテラピーにおいては、香りの分子を電気信号としてこの視床下部に送ることにより、 脳内神経伝達物質 の働きに変化が起きると言われています。実際に「香りと神経伝達物質の関係」は実験によって徐々に解明されてきています。

また、特定の香りを嗅ぐことによってそれに応じたホルモンの分泌量の増減が見られるなどの確認もされています。



ストレスを解消するため、リラックスをするため、「癒し」を目的としたアロマテラピーに注目が集まっていますが、心理面のみならずこのような生理学的な側面から見たアロマテラピーにも今後は期待をよせたいところです。